腸内環境を整えることで得られる効果10と方法について

腸内環境を整えることで得られる効果10と方法について

ここ数年、腸内環境を整えることが注目されています。便秘や下痢という胃腸の問題だけでなく、全身の健康を司る免疫力も腸内環境に左右されているというテレビ番組や書籍を見たことがあるでしょう。腸内環境に興味を持っておられる方も増えています。

今回は、腸内環境を整えることから得られる効果、そして腸内環境を整える方法をご説明します。

※見込まれる効果は、人により異なります。



1.腸内環境を整えることで得られる効果10

「腸内環境を整えることが大切であることは何となくわかってはいるけれど、実際どのような効果があるの?」とお考えですか。これまでにわかっている効果には、以下のようなものがあります。

1-1.便秘や下痢の解消

便秘や下痢の解消

腸内環境改善で最初に見込めるものに、便秘や下痢の解消があります。便秘や下痢は、腸内細菌の悪玉菌が優位になったときに起こることが多くあります。腸内環境を整え、善玉菌と悪玉菌のバランスを正しく保つことで便秘や下痢が落ち着いてきます。

1-2.O-157などの大腸菌感染を防ぐ・症状を軽くする

O-157などの大腸菌感染を防ぐ・症状を軽くする

腸内環境が整っていれば、食べ物に付着した病原性大腸菌(O-157など)が腸内に入っても感染を防いだり、仮に感染しても症状を軽くする効果が見込めます。乳酸菌やビフィズス菌が腸内に多く存在していれば、それらが生み出す乳酸や酢酸が大腸菌の増殖を防いでくれるからです。

1-3.風邪やインフルエンザなどの流行性疾患にかかりにくくなる

風邪やインフルエンザなどの流行性疾患にかかりにくくなる

腸内環境を整える乳酸菌の中には、免疫力をアップしてくれるものがあり、それらはNK細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化します。NK細胞は、本来人の体には存在しない異常な細菌や細胞を察知すると攻撃をしかけるという性質を持っています。

1-4.ダイエットをサポートしてくれる

ダイエットをサポートしてくれる

善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れると、便秘になることは良く知られています。この便秘が解消されれば、おなかがすっきりすると同時に、腸の血行が良くなり、内臓の働きがアップします。乳酸菌はこの基本的な働きを持っていますが、中には内臓脂肪の代謝を上げ、やせやすくしてくれるものもあります。

1-5.高血圧の症状を低減

高血圧の症状を低減

腸内の環境を整えると、善玉菌である乳酸菌が増えます。この乳酸菌をヨーグルトで摂取すると、乳成分を分解し、ラクトトリペプチドを生み出します。ラクトトリペプチドは、血圧上昇に関与しているアンジオテンシン変換酵素の働きを抑制し、結果として血圧の上昇を低減することがわかっています。

1-6.コレステロール値のコントロール

コレステロール値のコントロール

腸内環境を整えることで、生活習慣病のひとつであるコレステロール値上昇を抑制することができます。食物として摂取したコレステロールを一部の乳酸菌が吸収してくれることがわかっています。ビフィズス菌がコレステロールを腸管から吸収しづらいコプロスタノールに変換してくれることで、血中コレステロール低下に寄与していることもわかっています。

1-7.消化器系がんの予防

消化器系がんの予防

大腸がんリスクのひとつに、腸内で毒素を発生するバクテロイデス・フラジリスという悪玉菌があります。一部のビフィズス菌には、この悪玉菌の数を減らすことが確認されています。また、胃がんリスクのひとつに、ヘリコバクター・ピロリ(いわゆるピロリ菌)があります。一部の乳酸菌やビフィズス菌は胃酸に強く、ピロリ菌の増殖や活動を抑制する効果があることがわかっています。

1-8.美肌効果

美肌効果

皮膚を健康に、美しく保つためにはビタミンが欠かせません。食物から摂取する必要があるのはもちろんのことですが、腸内の細菌がそれらを合成していることもわかってきました。細胞をどんどん育てるビタミンB2、タンパク質からアミノ酸をつくり体中に運ぶビタミンB6、コラーゲンを作り出す上で欠かせない働きをするビタミンKなども、腸内細菌が生み出すことが知られています。

1-9.アレルギー症状の緩和

アレルギー症状の緩和

花粉症やアトピー、ぜんそくなどのアレルギー性疾患は、特定の抗原(アレルギーを引き起こす物質)に対して体が過剰に反応している状態です。抗原に対して攻撃をしかけるT細胞も、アレルギー反応を過剰におこなわないようになだめる制御性T細胞も、そもそもは同じ「未熟なT細胞」です。成長過程にある未熟なT細胞に短鎖脂肪酸のひとつである酪酸を与えると、抑制性T細胞へと成長する割合が高まることがわかっています。この酪酸も、腸内細菌が生み出す物質のひとつです。

1-10.気分が明るくなる

気分が明るくなる

体が軽いと感じたり、気持ちが楽で「しあわせ感」を意識するとき、セロトニンが分泌されています。このホルモンは神経伝達物質と呼ばれています。セロトニンは、口から摂取したアミノ酸から合成されますが、その合成過程では、腸内細菌が生み出す葉酸やビタミンB6が不可欠です。

2.腸内環境を整える方法(食事編)

このように、体調全般や気持ちにまで影響を与える腸内環境ですが、恩恵を受けるためには腸内細菌を上手に“育てる”ことが大切です。まずは口にするものから見直してみましょう。

2-1.ヨーグルト

ヨーグルト

ヨーグルトといえば、乳酸菌の宝庫として重宝するものです。朝食に取り入れたり、夕食後のデザートとして活用したりと、手軽に食べられるところが魅力です。最近では、一定の効果を見込める特定保健用食品(トクホ)認可のヨーグルトもありますので、気になる効果があれば試してみるのもよいでしょう。

当サイトでは、スーパーでよく見かける15種のヨーグルトについて調査いたしました。ヨーグルト選びの参考にご覧ください。

ヨーグルト15種類比較!スーパーで売られている商品を徹底調査

2016.08.29

2-2.キムチやぬか漬けなどの発酵食品

キムチやぬか漬けなどの発酵食品

キムチやぬか漬け、ザワークラウトなど、昔から野菜を保存する目的で作られてきた漬物類には乳酸菌がたっぷりです。栄養豊富な牛乳で作るヨーグルトとは異なり、厳しい環境下で生育する植物性乳酸菌はとても強力で、胃酸に強いという特徴を持っています。市販の漬物類は、「キムチ風味」「ぬか漬け風味」のものも多くありますので、少々値段が張っても良い品物を購入したいところですし、時間があれば自分で作ってみたいもののひとつです。

2-3.野菜を多く摂取する

野菜を多く摂取する

野菜は食物繊維の多い食品で、腸内環境を整えながら便の量を増やすために大切な食材です。その働きは「第6の栄養素」とも呼ばれるほどです。不溶性食物繊維、水溶性食物繊維に分けられ、不溶性食物繊維は腸を刺激して排便を促す効果が、水溶性食物繊維には善玉菌を増やす・胃腸粘膜保護といった効果があります。一番栄養価の高い旬の時期にバランスよく摂取することが大切です。

2-4.タンパク質は魚や大豆で摂取

タンパク質は魚や大豆で摂取

健康を維持するために必要なタンパク質も、可能な限り魚や大豆で摂りましょう。というのも、脂質の多い肉類は腸内で消化吸収されるまでにかなりの時間を要してしまい、その間にも悪玉菌を増やすとされているのです。とはいえ、かなり意識しなければ魚や大豆を食べることはありません。どうしても肉中心になってしまうのであれば、胃もたれしない程度にとどめる・脂身を避けるという自衛行動をとりましょう。

3.腸内環境を整える方法(運動編)

腸内環境を整えるためには、摂取する食べ物のみならず、腸を積極的に動かす「行動」も重要です。食べたものをためずすっきりと送り出すために、運動やストレッチも効果的です。

3-1.「インナーマッスル」とも呼ばれる腸腰筋を鍛えて腸のたるみを解消

「インナーマッスル」とも呼ばれる腸腰筋を鍛えて腸のたるみを解消

正しい姿勢を保ち腰を守る腸腰筋ですが、デスクワーク中心で猫背の方はこの腸腰筋が弱くなることも多くあります。大腸の長さは平均で1.5メートルもありますが、腸腰筋が弱くなってくると大腸が正しい位置に収まらず、だらんと下垂したり、ねじれたりすることがあり、腸が食物のかすである便をスムーズに送ることができません。腸を本来の位置に戻すためにも、腸腰筋を鍛える運動を取り入れてください。腸の下垂からくる「ぽっこりおなか」の解消も見込めます。

テレビを見ながらソファに横になって行えるストレッチがあります。足を肩幅ほどに開きひざを立てます。腰を浮かして左右に半円を描くようひねります。上半身は固定したまま、息を止めずに行います。5往復×3セット行ったら、次は股関節を伸ばします。片ひざを立て状態で、反対の足をソファから床に下ろします。枕やバスタオルを腰に入れ込むと、内股の筋肉や筋が伸びるのを感じるでしょう。30秒ほどその姿勢を保ったらゆっくりと床に落とした足を元に戻します。その後、反対の足も同じように伸ばします。

3-2.副交感神経を高めるストレッチで自然な腸の動きを取り戻す

副交感神経を高めるストレッチで自然な腸の動きを取り戻す

猫背で凝り固まった背中では、正しい腸の動きを期待することはできません。というのも、背中から腰にかけての背骨には、胃腸を司る神経が通っているからです。緊張状態を解きほぐすことでリラックスさせ、眠っている間にも「空腹期の強収縮」で便を送り出そうとする胃腸の働きを促進しましょう。

正座した状態で呼吸を整えます。お辞儀をするように指先から手のひらを床につけ、滑らすように伸ばします。ゆっくりと息を吐きながら腰が持ち上がるまで伸ばしきります。息を吐ききったら逆の動作で正座に戻ります。これを何度か繰り返すことで、背中まわりの緊張をゆるめると同時に、腸を正しい位置に戻すことが見込めます。

4.効果を実感するには続けることが大事!

腸内環境を整えることは、腸内に住む良い菌を増やし、その菌が喜ぶ食品を食べ続けること、そして腸そのものを正しい状態に保つことで実現します。乳酸菌やビフィズス菌、発酵食品を摂取することは特に重要です。便の80%は水分、残り20%のうち、3分の1は腸内細菌の死骸ですので、常に「リフレッシュ」することが必要なのです。

腸内細菌の更新、腸を働きやすくするための運動・ストレッチは毎日継続してこそ意味があるというものです。まさしく「継続は力」です。

まとめ

腸内環境を整えることについて知っておきたいことは次の通りです。

見込める効果

  1. 毎日定期的・快適な排便―便秘や下痢の解消
  2. 胃腸から感染する疾病の不安を低減―O-157などの感染を防ぐ・症状を軽くする
  3. 流行性感染症対策―風邪やインフルエンザ対策
  4. 内蔵の働きを向上させる―ダイエットサポートも
  5. ラクトトリペプチド産生―高血圧傾向にある方に
  6. コプロスタノール産生―コレステロール値のコントロール
  7. ピロリ菌などの増殖・活動抑制―消化器系がんの予防
  8. 腸内細菌がビタミン類を生み出す―美肌効果
  9. 酪酸が抑制性T細胞を育てる―アレルギー性症状を抑制・低減
  10. セロトニンをうまく合成できるようになる―気持ちが明るく、軽くなる

腸内環境を整える方法

  • ヨーグルトで乳酸菌やビフィズス菌を取り込む
  • 胃酸に強い植物性乳酸菌が豊富なキムチやぬか漬けなどの発酵食品を摂取する
  • 便の量を増やす・腸内細菌のエサとなる野菜(食物繊維)を多く摂取する
  • タンパク質は、質の良い魚や大豆で摂取する

排便を促す方法

  • 運動不足や猫背で起こる腸管のたるみを防止する―腸腰筋を鍛える
  • 睡眠中も便を送り出す「空腹期の強収縮」を邪魔しない―胃腸を司る神経が集中する背中のストレッチを行う